書道を習慣にすることで、普段の字がきれいになるだけでなく、日頃のストレスや不安を解消することができます。

書道塾優美舎の塾生たちからも、書道を習慣にすることで、

  • 「嫌なことが忘れられる」
  • 「気分がスッキリした」
  • 「気持ちが安らぐ」

という声をよく聞きます。

ここでは、なぜ書道がストレス解消に効果があるのか、長年書道を教えてきた経験から解説していきたいと思います。

また、書道でストレスを解消したり、心を落ち着かせるために気をつけることについても触れていきます。

書道がストレス解消になる理由

無理なく集中することができるから

書道がストレス解消にぴったりな理由

とにかく何かに集中するということは、心が安定することにつながります。

書道はただ文字を書くだけでなく、筆やペンを動かすたびに、「どのようにしたらきれいな形の文字が書けるのか」「きれいな線が出せるのか」を考えながら書くことになります。

筆やペンの動きや線の形に集中するということは、「今」に集中していることになります。

この「今」に集中することが、ストレス解消にはとても役立つのです。

 

たとえば、「昨日とても嫌なことを言われた」と悩んでいる場合、頭は「嫌なことを言われた」という過去に集中してしまっていることになります。

そんな中、いったん筆やペンを持ち、きれいな字を書くことだけに集中すると、自分が今その字を書いている瞬間に意識を集中させることになるのです。

そうすることで、「嫌なことを言われた」という過去からも距離を置くことができ、1時間ほど字を書くことに集中することで、悩みはさらに遠い過去のように感じることができます。

姿勢が良くなるから

書道がストレス解消にぴったりな理由

書道を行うときは、書くときの姿勢がとても大切になります。

正座をして書くにしても、椅子に座って書くにしても、どちらにしても姿勢が良くないときれいな字は書けません。

この姿勢を良くするということが、実はストレスや不安を解消するためにも、とても効果があります。

背中をまっすぐにすると、頭の位置もまっすぐになるので、なんとなく前向きな気分になり、気が引き締まって意識も変わるのです。

 

ある塾生は、書くときにどうしても背中が曲がってしまい、顔と紙の位置がかなり近くなってしまうという癖がありました。

そんな彼でしたが、定期的に声かけをしたり、背筋が伸びるように手助けしてあげることで、だんだん集中力がついてくるようになりました。

実はその彼は知的障害を抱えていて、もともと、長い間一つのことに集中することはあまり得意ではありませんでした。

しかし、姿勢が良くなったことで意識が変わり前向きな気分になれたようで、書道の稽古も2時間のあいだずっと集中できるようになったのです。

墨の香りが落ちつくから

書道がストレス解消にぴったりな理由

アロマがストレス解消に良いとされるように、墨の香りも心を落ち着かせる効果があります。

優美舎でも、たくさんの方たちから「墨の香りで心が落ち着きます」という声をいただくことがとても多いです。

特に日本人にとっては、墨の香りはどこか懐かしく感じ、心を安らげるものなのかもしれません。

 

もし時間があるならば、墨を一からすってみてはいかがでしょうか。

墨をする時間を作ることで、だんだん香ってくる墨の香りを楽しむことができ、リラックス効果が得られます。

普段は墨汁を使っている方でも、時には墨をすってみるととても新鮮な気持ちになること間違いありません。

自分で心を込めてすった墨で字を書くというのも、とても味わい深いものですよ。

書道でストレスを解消するために気をつけること

集中できる環境を作ること

書道がストレス解消にぴったりな理由

とにかく、書道の楽しさを心から味わうためには、集中することが大事になってきす。

家で書道を楽しむ場合も、できるだけ自分が集中できるような環境を作るようにしましょう。

 

集中する環境を作るためには、とにかく雑多なものが目に入らないようにすることが大切です。

せめて机の上には書道に必要な道具以外は何も置かないようにしてみましょう。

都会に住んでいて、周りの騒音が気になる場合はクラシック音楽をかけてみるのもおすすめします。

優美舎では常にショパンのピアノ曲をかけていますが、塾生たちからも「このショパンの音楽のおかげで集中できる」ととても評判です。

自分のためだけに書くこと

書道がストレス解消にぴったりな理由

どんなに書道で心を落ち着けようとしても、「他の人に見てもらう」とか、「賞をとる」ことを考えながら書いていると、本来気持ちが落ち着くはずの書道もストレスになってしまいます。

書道は、あくまでも自己の力や精神性の向上のために書くことが大切になってきます。

高名な僧侶、一休や雪舟の書画は今となっては世界中から賞賛を受けていますが、彼らは決して人に見せるために書画を書いていたわけではなかったそうです。

彼らは、あくまでも「心の内面にある本来の自分とコミュニケーションを取るため」に、書と向き合っていたといいます。

古くから伝わる禅の教えでは、「書は自分の性格や本質を表す」と考えられていたということです。

 

これは、書道を長年教えてきた私にもよくわかることなのですが、同じ塾生が書いた字でも、その日の気分によって文字の形や線質がまったく違うことがあります。

書いた文字を見るだけで、今日その塾生がどんな気分でいるのかすぐにわかってしまうので、塾生たちにはびっくりされます。

このように、字は性格や性質を表し、自分のことをよく知るきっかけにもなるのです。

書に取り組むときは、人に見せるために書くのではなく、自分のために書くということを意識してください。

 

そして、気分が乗らないときにうまく書けなくても、落ち込んだり自分を責めたりするのはやめましょう。

自分を責めたりしてしまうと、せっかく書道で気持ちを落ちつけようとしても逆効果になってしまいます。

「今日はゆっくり休んだほうがいいんだな」というサインだと考えて、お風呂に長めにつかるとか、早めに寝るとか、自分自身のケアをしてみてください。

まとめ

書道にはいろいろな面でストレス解消の効果があり、特に、

  • 「無理なく集中できる」
  • 「姿勢が良くなる」
  • 「墨の香りが落ち着く」

というのが、特に不安な気持ちを落ち着けるのに役立つのです。

書道で効果的にストレスを解消するためには、「集中する環境を自分から作り、あくまでも自分のために書くことを心がける」ということが大事になります。

自分自身と向き合うためにも、まずはご自宅で、書道を心から集中して楽しむ時間を少しずつ作ってみてはいかがでしょうか。